【ストーリー】細タイヤチャリ現象

2020.07.27

架空の漫才コンビ「みちのく二人旅」が未来の車生活を語ります。

ツッコミ→ツ ボケ→ボ

ツ: どうもー、「みちのく二人旅」です

ボ: よろしくお願いいたします〜

ツ: 仙台の街を見てると、前よりバスに乗ってる人が減ったなって思うんですよ

ボ: そうですか?

ツ: ウイルスが流行ってから
   密閉された空間に抵抗があるって人も増えたんですよね

ボ: 俺はお前と二人きりだと息が詰まるけどな

ツ: よし、後で楽屋でゆっくり話し合おうか

ボ: 密閉された空間が嫌だっていうんで、
   他の交通手段も使う人減ったんだろうね
   電車とかタクシーとか

ツ: そう、だから極力マイカー使う人も増えたし、
   逆に自粛期間中、家にいる時間が増えたから
   ちょっと遠くても、徒歩とか自転車で通勤通学する人が増えたんですよ。

ボ: 今や、自転車での通勤通学は当たり前になったじゃないですか

ツ: いや、ほんとにそうですよね

ボ: もう家には家族全員分の電動自転車とか、クロスバイクがあって、
   学校のスクールバスも、40人乗りの自転車になっちゃって

ツ: 長いな〜、奥行き!

ボ: かたやサラリーマンはものすごい形相で
   自転車漕いで会社に向かうんだよ

ツ: 寝坊しちゃったのかな
   自転車はバスより時間かかるから。急いだほうがいい

ボ: 社員一人一人が会社に到着するんだけど、
   駐輪場の所で社長が「よっしゃ!三連単!」

ツ: 社員の通勤で競輪すんなよ!

ボ: 成績がボーナスに反映されたりして

ツ: されるか!

ボ: この自転車通勤がずっと続けば、
   知らないうちに東北人は健康になりますよ

ツ: 通勤が運動の代わりになりますから
   東北で生活してるうちに、自然と健康になりますよね

ボ: 東北って昔からメタボとか高血圧とか健康課題を抱えてるじゃない?
   特に青森なんか最近「タンタンメン」って言われてるじゃないですか

ツ: 「短命県」だよ!
   ときどき無性に食いたくはなるけども!

ボ: 要するに、不健康だったのが
   自転車で東北人が一気に健康になっちゃうんですよ
   一方、東北は元々美味しいものがいっぱいあるでしょ?
   そこに目をつけて新しい観光商品を打ち出しゃいいんですよ

ツ: 観光商品?

ボ: 「いっぱい食べて痩せよう!東北満喫ツアー」

ツ: 食べて汗を流して健康になろうってことね、いいねいいね

ボ: 旅行から帰ってきたら、友達から
   「よう、東北旅行どうだった?」
   『すっげえよかったよ、食べ物がすげえうまいんだ。もう一生分食っちゃったよ』
   「でもなんか、痩せたんじゃない?」

ツ: 自転車で体動かしてね

ボ: 『実は…、塩分の取りすぎで病気なんだ』

ツ: 病気で痩せたのかよ!
   自転車で痩せるんじゃないのかよ!

ボ: 『でも…、東北…やめられない!』
   「やめろー!命が惜しくないのか!」

ツ: お前がやめろよ!
   東北のイメージ悪くなるだろ!
   違うでしょ、美味しいものを食べて、
   身体動かして東北を満喫しようって話ですよ。

ボ: でもこんな風に街中で自転車の利用者増えると、
   逆にバスとかタクシーも対抗して変わるんですよ。

ツ: どんな風に?

ボ: やっぱり今、密閉された空間に抵抗があるわけですよ
   例えばタイの「トゥクトゥク」みたいにするとかね

ツ: 確かに。お客さんわかります?「トゥクトゥク」。
  タイとかで走ってる、屋根付きの後部座席のあるバイク。
  窓がないから、密閉されない。確かに普及するかもしれないよね

ボ: しかも東北は少し前からインバウンドに力入れてるでしょ?
   ああいうのが街中で走ってたら

ツ: 確かに、観光の時にいいですね
   お祭りの時期とか、ジャズフェスとか
   イベントの時もビール片手に街を回ったりしてね
   盛り上がるかもしれませんね

ボ: でも甘いね。

ツ: 何?

ボ: 東北ですから、冬は地獄ですよ

ツ: 冬は流石にやんないだろ

ボ: 雪とか風とかビュンビュン入ってきちゃって。
   だけど東北って冬のコンテンツいっぱいあるじゃない?
   仙台だったら「光のページェント」

ツ: ありますね、街を彩るイルミネーションですよ

ボ: ライトアップの瞬間は
   カップルたちが毎年テンション上がって「うわ〜綺麗〜」って

ツ: 県外からわざわざ観にくる人も多いんですよね

ボ: あそこでトゥクトゥク走らせるんですよ

ツ: 走らせちゃうの?!寒いだろ~

ボ: 初々しい大学生の男女とかが、テンション上がって
   「あれ、トゥクトゥクが走ってる!」
   『ちょっと乗ってみましょうよ』つって観て回るんですけど
   やっぱりめちゃくちゃ寒いんですよ

ツ: そりゃそうだよね

ボ: 寒さでイルミネーションも目に入んないんですよ。
   女の子の方が寒そうに唇真っ青にして、ぶるぶる震えて

ツ: ほらもう、乗らなきゃよかったのに

ボ: それをみてた男子は、寄り添って自分の上着かけて
   女の子の両手をとって

ツ: あらあら?

ボ: 二人見つめ合っちゃったりなんかして、いいムードなんだけど
   トゥクトゥク降りたら二人ともフラフラになって

ツ: いい感じになったのに

ボ: 今日はさすがに帰ろうってなって、お互い別れて。
   あくる日の朝、40度近い熱にうなされちゃって呟くんですよ
   「ああ、これが恋の病か」

ツ: うるせえよ!いい加減にしろ!

二人:どうもありがとうございましたー

Future TOHOKUとは

新型コロナウイルスの感染拡大を経験した私たちが、10年後の東北にひろげていきたい日常のしあわせを、より前向きに描き、つくる、シンク&アクトプロジェクトです。
「距離観【きょりかん】~再計測する生活者~」というテーマのもと、今後実現・定着するかもしれない新しい営みを、
7つのテーマ(食生活 / 働き方 / 住居 / 趣味・学習 / 車・トラフィック / 観光・祭り / 健康生活)に分類し、希望的楽観により描きます。
日本や世界があこがれる「東北らしい、あったらいいな」な生活シーンの数々。皆さんの再計測や新しい営みのきっかけになるレポートや物語を定期的に掲載してまいります。

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