【ストーリー】マイカーのはなれ化

2020.09.24

架空の漫才コンビ「みちのく二人旅」が未来の車生活を語ります。

ツッコミ→ツ ボケ→ボ

ツ: どうもー、「みちのく二人旅」です

ボ: よろしくお願いいたします〜

ツ: コロナウイルス流行ってから、
「人と人の距離感」が変わったなって思いません?

ボ: 変わりましたよね〜

ツ: 一番わかりやすいのは、仕事で
「リモートワーク」って普及しましたよね。

ボ: しましたね

ツ: リモートの会議って
自分の部屋から参加することが多いでしょ?
だから、会議のために部屋を片付ける人も結構いるんですよ

ボ: 私もね、壁にベットリついた血のりを綺麗に拭き取りましたよ

ツ: 証拠隠滅かよ!ボケがブラックすぎるよ!

ボ: 会議中、後ろの方で家政婦がじっと見てんだよ
「あら、旦那さま」って

ツ: ドラマの見過ぎだよ!
でもね会議中、家族とか子供の声がして集中できないとか
実際あるみたいですよ。

ボ: やっぱり作業に集中できる空間が必要ですからね、
例えば、マイカーで作業するなんて人も

ツ: 確かに、実際いるんですよね今

ボ: これは便利ですよ〜
マイカーが自宅の「はなれ化」するワケですよ
ひとりで集中できるし、どこにも移動できますからね
「よし、今日は海の見えるところで作業しよう」なんて

ツ: 確かにね、静かなところに移動して

ボ: 黙々と作業してたらね、
目の前の海は青いのに、オレの業界はレッドオーシャン…
あぁ、神さま、私はどうなってしまうんでしょうか。えーん、えん

ツ: 仕事中に泣くなよ!

ボ: ちょっと気分を変えようと思い、高速にのって、
サービスエリアに向かいましたよ。
街中より静かだし
大きいサービスエリアだったら今や何でもありますからね
そのうち、駐車場で宿泊なんかできるようになって

ツ: なるほど、車を停めて寝泊りも出来ちゃうと

ボ: そうなると、今までとは違うご近所さんが出来るんですよ
駐車場に停めてたら「ピンポーン」

ツ: おお、車にインターホンついてんだ

ボ: 「佐藤です〜」
『おお、佐藤さん、今日も同じ駐車場に』
「見覚えのあるナンバー見つけたからさ〜。
いやあ、ここが一番落ち着くんだよね」
『奇遇ですね〜』とか言って

ツ: 顔馴染みの人と仲良くなったりしてね

ボ: 家に帰る途中腹減ったなって思って
ファーストフード店のドライブスルーに寄ったら、
「ピンポーン、佐藤です〜」

ツ: おお、また?

ボ: 『奇遇ですね〜』なんて言って。
んで食べ終わった後に車に乗って
家に着いたらまた、「ピンポーン、佐藤です〜」

ツ: ストーカーだろ、そいつ!

ボ: こっちも『奇遇ですね〜佐藤さん』とか言って

ツ: 奇遇じゃねえよ!ハナから狙われてんだよ

ボ: でもね、どこでも集中して作業できるってんで
この先、家じゃなくて、いっそ車で生活しちゃおうって人も
出てくるかもしれませんよ

ツ: そこまでなっちゃう?!

ボ: もう、車内にはキッチンや冷蔵庫
お風呂もベッドもつけちゃって
家にいながら旅行にだって行ける。
おまけにWi-Fiもあるから、仕事もサクサクですよ。

ツ: たしかに便利でいいことずくめだね。

ボ: でもこれがいいことばかりじゃない、
郵便物の受け取りにも一苦労。
高速道路走ってたら、隣の車線から配達員が
ナンバーを見てものすごい形相で追っかけてきて

ツ: わざわざ追っかけてくるなよ!
コンビニ受け取りとかでいいだろ

ボ: しかもずっと車の中に篭ってるから、
家庭内でトラブルも起きちゃって

ツ: トラブル?

ボ: たまに家の中に帰ると、がらーんとして、奥さんも子供もいない。
テーブルの上に置き手紙
「出て行きます。長い間お世話になりました。」

ツ: 家族ほったらかしだったから

ボ: もう、血相変えて半ベソかきながら外に出て行ったら
奥さんと子供がガレージのもう一台の車で暮らして…

ツ: 一緒じゃねえか!

ボ: やっぱり、人と人の距離は見直さないとダメですよ。
車の「はなれ化」で
家族の心も「はなれ化」しちゃって…

ツ: いい加減にしろ!

二人:どうもありがとうございましたー

Future TOHOKUとは

新型コロナウイルスの感染拡大を経験した私たちが、10年後の東北にひろげていきたい日常のしあわせを、より前向きに描き、つくる、シンク&アクトプロジェクトです。
「距離観【きょりかん】~再計測する生活者~」というテーマのもと、今後実現・定着するかもしれない新しい営みを、
7つのテーマ(食生活 / 働き方 / 住居 / 趣味・学習 / 車・トラフィック / 観光・祭り / 健康生活)に分類し、希望的楽観により描きます。
日本や世界があこがれる「東北らしい、あったらいいな」な生活シーンの数々。皆さんの再計測や新しい営みのきっかけになるレポートや物語を定期的に掲載してまいります。

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