【ストーリー】家事革命

2020.07.27

結婚して子供に手がかかるうちは
〈時短料理〉専門家だったが、
家にいる時間も増えた最近は
〈気長料理〉に目覚めている。
初めはカレーをスパイスから作るとか、
あんこからどら焼きを作るとか、
「調理」にこだわっていたが、
今や「食材」にまで及んでいる。

朝5時。
朝日を浴びながら、
私を乗せた船が沖へと進む。
今日の狙いは鯵と鰯。
ポイントにつくと一斉に竿を投げ入れる。
途端に竿が引く。
世界有数の漁場「三陸沖」は、入れ食い状態だ。
帰港してからさらに一仕事。
獲れたての鯵と鰯を「干物」にする。
ちょうどいい状態になるまで、
ひたすら待つ。ただ待つ。
最近では、このなんともいえない気長に構える時間が
愛おしくさえある。
時短にこだわっていた時とは真逆だ。
ちなみに完成した干物はご近所さんには大好評で
「商売にできるんじゃない?」なんてお世辞をもらい、
まんざらでもない私。

実は、開業の準備を整えている最中で、
今度、食品衛生の資格を取ることにしている。
デザイナーの友人に商品のロゴもお願いしてある。
商品名は「純子の干物」。
人生100年。私のおサイフも熟成させないと。

Future TOHOKUとは

新型コロナウイルスの感染拡大を経験した私たちが、10年後の東北にひろげていきたい日常のしあわせを、より前向きに描き、つくる、シンク&アクトプロジェクトです。
「距離観【きょりかん】~再計測する生活者~」というテーマのもと、今後実現・定着するかもしれない新しい営みを、
7つのテーマ(食生活 / 働き方 / 住居 / 趣味・学習 / 車・トラフィック / 観光・祭り / 健康生活)に分類し、希望的楽観により描きます。
日本や世界があこがれる「東北らしい、あったらいいな」な生活シーンの数々。皆さんの再計測や新しい営みのきっかけになるレポートや物語を定期的に掲載してまいります。

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