【ストーリー】ゆく旅、くる旅

2020.07.27

いま観光は「ゆく」だけではない。
自分のいる場所から、世界のあらゆる場所にトリップする
「くる」観光を楽しむ人も増えてきた。

大学時代、国内旅行が好きすぎて、
日本を2周した経験がある僕だが、
いまは、福島で農家を継ぎ、
旅行ができるのは冬ぐらいしかない。

そんな旅好きの僕にぴったりなのが「くる旅」。
今夜は、友人の居酒屋で秋田をめぐることになっている。

店に入ると、モニターには
竿灯まつりのLIVE映像が流れている。
先日取り寄せた秋田満喫セットの箱の中には、
きりたんぽ鍋、いぶりがっこ、
はたはた寿司などの地元グルメ、
人気の地酒に乳頭温泉の入浴剤が入っていた。

お取り寄せの箱に印字されたQRコードを読み込むと
地元のゆるキャラが竿灯まつりの歴史について
説明する映像が流れてきた。

大将が調理してくれたきりたんぽ鍋は、
比内地鶏の出汁がきいて、
あっという間になくなってしまうほどの旨さだった。

竿灯のやさしい灯りが、こころを癒す。
家に帰ったら、乳頭温泉が待っているかと思うと、
ここが福島なのか秋田なのかわからなくなってきた。

さまざまな場所に“来てもらう”のが、
僕の余暇の楽しみ方だ。
明日は青森のねぶたまつり、
明後日は盛岡のさんさまつりの箱を開ける予定だ。

Future TOHOKUとは

新型コロナウイルスの感染拡大を経験した私たちが、10年後の東北にひろげていきたい日常のしあわせを、より前向きに描き、つくる、シンク&アクトプロジェクトです。
「距離観【きょりかん】~再計測する生活者~」というテーマのもと、今後実現・定着するかもしれない新しい営みを、
7つのテーマ(食生活 / 働き方 / 住居 / 趣味・学習 / 車・トラフィック / 観光・祭り / 健康生活)に分類し、希望的楽観により描きます。
日本や世界があこがれる「東北らしい、あったらいいな」な生活シーンの数々。皆さんの再計測や新しい営みのきっかけになるレポートや物語を定期的に掲載してまいります。

Future TOHOKU

writer:武田陽介、菅原愛恵